【エロゲレビュー①】ワガママハイスペック

どうもラセンです。
突然ですが、あなたはエロゲが好きですか?
自分はどちらかと言えば好き…なのですが、Hシーンは苦手なんですよね。でもCS版があるゲームばかりではないので泣く泣くエロゲやってる次第です。(ちゅーかPSVita持ってない)

さてそんな僕ですが、プレイしたゲームは他の人にも勧めたい訳でして。なのでエロゲレビューを書いてみることにしました。
初回となる今回は、まどそふとの「ワガママハイスペック」というゲームです。これが初めてのエロゲという訳ではないのですが、どうしても書きたくてまずこれを取り上げました。

そうそう、エロシーンの実用性や評価については基本的に書きません。あまりよくわからないので…

ストーリー

主人公である鳴海幸樹は桜翠学園の2年生で漫画家。締め切り寸前という状況で完成した原稿データがパソコンごとおじゃんになってしまうところから物語はスタートします。焦る彼ですが、メモ帳に書きとめた内容からプロットを起こしなおすことを思いつき、一安心。ところが、その大事なメモ帳を学園内で落としてしまいます。そんな彼の耳に届いたのは、メモ帳の持ち主を生徒会室に呼び出す校内放送。そこへ赴いた彼を待っていた生徒会長・鹿苑寺かおるこからは意外な一言が…。翌日、彼女から「生徒会役員になって欲しい」と頼まれた幸樹には生徒会役員としての新たな日々が待っていました。

個別シナリオ

ヒロインは全部で4人いて、追加シナリオなどはありません。選択肢自体は少ないですが初見ではちょっとわかりにくいものもあり、目的のヒロインにいきなり行けるかは微妙です(僕は失敗しました)。シナリオロックは無いので誰からでも攻略できます。
僕の攻略順は未尋→アーシェ→兎亜→かおるこでした。Hシーンは各ヒロイン4回あります。
トータルの評価としては4/5です。
以下がっつりネタバレを含む感想です、ご注意ください。(あと間違ってる部分あったらごめんなさい)

共通ルート

シンプルでありがちではありますが、手堅い内容です。かおることの出会いから生徒会メンバーの決定、仕事内容を紹介したイベントやルート分岐確定となる文化祭がまとまっていて、導入としてはとてもよくできてると思います。また、ネットネタは控えめでありながら主人公の躍動感あふれる突っ込みや癖の強いヒロインたちの言動が笑いを誘うため、とても楽しくプレイできます。個人的にはアーシェの呼び出しシーンがダントツで面白かった…。

かおるこルート

一番がっかりした内容。まず、全編通してコミカル要素が強めです。他のルートがちょいシリアス→いちゃラブ→シリアスという流れを踏まえて緩急をつけているのに対し、このルートは共通ルートの雰囲気を維持したまま唐突に告白しいちゃラブ→シリアスという流れを辿ります。他のルートでは、幸樹は自分の気持ちを自覚するまでに様々な苦悩をして覚悟を決めるのですが、このルートだけはそういうのがなく、かなり違和感を覚えるほどさらっと告白がされます。マンガの展開を考える・キャラが幸樹と似ているというくだりが何度も挟まるため明らかに不自然ではないのですが、その中で自身の気持ちに対する独白が極端に少ないとは感じました。
決定的に僕がキレたのは、「シリアスが茶番だった」という点。
具体的に内容を説明すると、結ばれたかおること幸樹に「大御所作家からかおるこへのオファー」が来ます。編集部のミスから、それはかおること組むための、様々な作家のコンペという形になり当然幸樹も挑戦します。一日に大量のプロットを創るものの、全てがボツとなる幸樹。しかし彼はその様子を周囲に微塵も見せません。疲弊していく幸樹。そしてとうとう、かおるこが自身の作ったお弁当をふるまった際、激辛カレーを「辛い」と言っていた幸樹が、激辛弁当を食べても「辛い」と言わないことにかおるこは動揺してしまうわけです。

当然、プレイヤーは彼の追い詰められ方を心配して、どうなるのかドキドキするわけです。でも、この先がひどかった。

彼が辛いと言わなかった理由は「本能的に噛まずに飲み込むようになっていた」から。

ふざけんなよ!!
そんな適当な理由付けでシリアスを解決されたことに、バカにしているのかと思いました。他のルートでのシリアスの解決にはとても丁寧な描写があっただけに、この投げやり具合は舐められているとしか思えませんでした。また、Hシーンでも他のルートより二人の人格が乖離しているように感じられました(こっちは気のせいかもしれませんが)。
そんなわけで、このルートのせいでこの作品の評価が下がったと言えるほどこのルートに対する評価は低いです。キャラクターはかわいいし、笑えるシーンも多かったのでそこだけは評価します(他のルートは笑えるシーンがあまりないので)。

兎亜ルート

よくも悪くも普通ですね。
このルートのシリアスは「スランプ」です。連載の中で、今まではあまり掘り下げていなかった妹キャラに焦点を当てて長編を書かないかと打診された幸樹は、兎亜をモチーフにしてマンガを描きそれが大ヒットします。アンケートで3位になり、ドラマCDやWEB連載の話が来て嬉しくなった幸樹はそれらを全て引き受けます。ところが思うように仕事が進みません。忙しさは私生活にも波及し、連載のストックはたくさんできたもののテストでは赤点を連発、得意の現国ではまさかの0点。そしてとうとう、補習を終えた日に過労で倒れてしまいます。その影響で編集部から月刊誌への移籍を提案されてしまいます。兎亜はそんな兄を見て、甘えてばかりで何もできない自分を責めるのですが…。

実妹ルートとしてありがちな絆の強さについては文句なしと言えるでしょう。
ですが、個人的にはやや不満です。幸樹が兎亜と二人で暮らしている理由については一応説明がなされてますが、シナリオ中では具体的な回想シーンが一つも出てきません。兎亜のために幸樹が家を飛び出した、というエピソードを踏まえるとシリアスパートは家族の話にするべきだったのでは?と思います。親が再婚して過干渉してくるようになった、という部分をうまく使えば二人の恋の大きな障害になったでしょうね。スランプがテーマとして悪いとは言いませんが、周りの人が彼を気遣うシーンが比較的多めに見られることを踏まえると、幸樹自身を主役としたノーマルエンドを用意してそこでやるべきだったのではないかな~と感じます。あとテーマがかおるこルートと被ってます。出来はこっちが良かったですけど、テーマが被ってるって恋愛ADVとして割と致命的ではないでしょうか?

アーシェルート

このゲームで一番良かったルート。というか傑作でした。いい点しかない。
このルート、まず最初に生徒会の仕事として演劇部のサポートが舞い込んできます。急きょ脚本を幸樹が、BGMをアーシェが担当し無事に仕上げるのですが、今度は主役の一人がけがをしてアーシェが代役に立つことになります。この演劇シーンがとっても良かった。題材は「銀河鉄道の夜」ですが、声優さんの熱演もあって引き込まれます。練習シーンが少ないこともあり、初見の人は本番さながらの一舞台を鑑賞している気になれます。この力の入れ方はグッドですね!

さて、このルートのシリアスは「留学」です。アーシェの母親は世界的に有名なピアニストなのですが、アーシェはそんな母親に「ピアノをやめなさい」と言われたことと父のアドバイスから作曲の道に進みました。自分を認めてほしくて作った曲を送り続けるアーシェですが、母親からの返事はありませんでした。夏休みが終盤に近づいたある日、母親が急に日本に来ることになり二人のデートはお預けに。デートを来週に延期する約束でしたが、そこから一週間アーシェとの連絡がつきません。ようやく連絡がついても、どこかアーシェの様子がおかしいのです。学校が始まってから数日後、アーシェから屋上に呼び出された幸樹は、アーシェが演劇用に作った曲を母親が高く評価し海外の著名な作曲家に紹介してくれたこと、その作曲家が直々に指導したいと言ってくれていることを説明されます。しかしその拠点はウィーンだったのです。明日には母親が転校手続きを済ませてしまうから、「ワガママだけどそれまでに幸樹がどうすればいいか決めてほしい」と訴えるアーシェ。幸樹の下した決断とは?

このシリアスパート、すごく力が入っています。二人の距離を大きく引き離すというイベントは鉄板ですが、決断を下す主人公の葛藤や強がりがかなり細かく描かれていてありきたりと感じさせません。アーシェが幸樹を「鳴海くん」と呼び方を戻してしまう場面なんか辛くて泣いちゃいました…。さらに、フィナーレに向けて張られた伏線や準備が期待をとても高めてくれました。
タイトルを回収する独白も含めて、総合的にとても満足度・完成度が高いルートだったと感じました。このルートは最後に回収するのがおススメです!

未尋ルート

他のルートでは散々幸樹をおちょくっている未尋。彼女はルート序盤で自分の気持ちに翻弄され、いつもの彼女とは打って変わって挙動不審な感じがあります。新鮮です。未尋というヒロインの内面に迫るシーンが多いこと、兎亜が良きアドバイザーとして未尋をサポートしていることから、共通ルートとはかなりヒロインへの印象が変わりましたね。これがギャップ萌えなんですかね。
彼女のシリアスパートは「お店の存続」です。彼女は「洋食 宮瀬」を継ぐつもりでしたが、ある晩不穏な内容が聞こえてしまいます。両親が店を閉めるつもりだと知った二人は、お客さんが減ったことが原因だと考えて料理コンテストに出場することになります。
他のルートのシリアスとはちょっと毛色が違って、少年誌みたいな展開だと感じましたね。それは悪いということではなく、むしろ未尋がどれだけ店を想っているのか、そして料理の才能を持っているのかという部分を強調するうえでとても効果的なシナリオだった、という意味です。そして、なぜ彼女が幸樹だけを「先輩」呼びするのかもこのルートで説明されます。総じて、彼女の魅力を引き出すために練られたシナリオだったと感じました。
余談ですが、ルート自体はいいと思います。思うのですが、個人的には他のルートの未尋のしゃべり方が大好きです。あのどこか力の抜けたゆるーい主張、可愛すぎますって。

まとめ

絵もよし音楽もよし、シナリオは一部難ありですが大方よし。総じてとても楽しめるゲームだったと思います。ルートも極端に長いわけではない(4~5時間程度)ので、初心者にもおすすめです(いや僕も初心者ですが)。
なお、今回攻略できないサブヒロイン3人をメインとした「ワガママハイスペック over clock」も存在します。アーシェルートをやればわかりますが、委員長も相当魅力的なヒロインなのでぜひやってみたいです。

以上でレビューを締めたいと思います。ネタバレはしたものの、やっぱり細かいセリフ回しやCG、BGMが絡み合ってこそのエロゲーなので皆さんも機会があればプレイしてほしいと思っています。ここまでお付き合いいただきありがとうございました。